魚介類の摂取で、うつ病リスク半減
2017.9.29 新聞より
魚介類を多く食べる人は、そうでない人と比べてうつ病の発症率が半減すると疫学調査結果が出ました。
(国立がん研究センター・慶応大学のチームによるまとめ)
青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸による予防効果が考えられるとのこと。
米国の精神医学専門誌「トランスレーショナル・サイカイアトリー」に27日論文が掲載された。
研究チームは1990年に40~59歳だった長野県南佐久群の住民1181人を25年間追跡調査し、19種の魚介の摂取量とうつ病との関係を調べた結果
1日あたりの摂取量の多い順に4グループに分けると2番目の集団(中央値111グラム)は、最下位(57g)の集団よりも発症率が56%低かった。
最も多く摂取した集団の発症率は26%の低減に留まるが、他の食材や調理法の影響を受けたとみられる。
一般的にサバの切り身は80g程度、イワシは1匹80~100g程度とされる。
興味深い点は、魚介類の摂取量が多いほどリスクが下がるわけではなかった点です。
EPAの摂取量でも同様に分析した結果、最も少ない群(同200mg)と比べ、2番目に少ない群(同307mg)はうつ病のリスクが46%低かった。
いずれも摂取量が多いほどリスクが下がるわけではなかった。
オメガ3脂肪酸には脳内で情報伝達に関わる物質の合成や、神経の栄養になる物質を増やす作用があるとされています。
食事内容によって、うつ病の発症率が軽減できるという衝撃の発表がありました。
食事と病気の関連はもはや無視できるものではなくなってきていますね。
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さて、ここから本題です。
今回は、無気力まとめの続きになります。今回は、より教科書的な内容が多めです。
◉無気力になりやすい人の性格の特徴◉
①タイプA
心理学や心身医学領域でかなり前から行動様式が研究されていて「タイプA行動パターン」の人は無気力になりやすいということが言われている。
約50年前にアメリカの内科医ローゼンマンとフリードマンによって提唱された考え方。
タイプAの特徴
・仕事熱心
・達成意欲が強い
・時間に几帳面
・他者に対して競争心や敵意が強い
タイプA者は心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患にかかりやすいと言われている。
定説があるわけではないが、一般的には「仕事ができる人」と言われるタイプである。
それゆえ、仕事が集まり、それを持ち前の几帳面さ・熱心さで頑張るために過剰な負担になりストレスが溜まってしまう。
きちんと仕事をこなすために、次々に仕事が集中し、悪循環に陥る。最終的には身体を壊しやすくなるという推論になっている。
タイプA者は無気力になりやすいとも言われており、虚血性心疾患発症の前はうつ状態や無気力に陥っているという指摘もある。
個人的には、自分の力でなんでも解決しようとする真面目さ几帳面さがある人ほど、コントロールできないような事態や解決できない事態に直面すると精神的にダメージを受けるということではないかと感じる。
②メランコリー親和型性格(執着気質)
メランコリー親和型性格は、ドイツの精神医学者テレンバッハが半世紀近く前に指摘した「うつ病になりやすい人の病前性格」を指す。
特徴
・几帳面
・真面目
・コツコツ努力できる
・他社に対して行き届いた配慮をする
加えて、自らの秩序に対する固執が強く、周囲の変化についていけなくなると持ち前の真面目さでさらに無理をしようとする。
そうして悪循環に陥り、最後は燃え尽きてうつ状態になってしまう。
◉原因帰属◉
1950年代に心理学者ハイダーにより提唱され、1970年代に教育心理学者ワイナーによって達成動機づけの理論に取り込まれた。
原因帰属とは、起きたできごとの原因や理由をどう考えるかということ。
何かの勝負に負けたとしても、今回は調子が悪かったと考えれば次回からは調子をしっかり整えて臨もうと考える。
自分の実力不足だと考えたもっと実力をつけてから挑む必要があったと考える。
逆に、努力して臨んで余裕をもって勝つことができた場合は、自分が頑張ったから勝てたと誇らしく感じる。
人は半ば自動的に原因や理由を探す傾向にある。
この原因帰属の考え方が、その後の気分や行動に決定的な影響を及ぼしていることが分かった。
ワイナーの原因帰属理論
内的 | 外的 | |
持続的 | 能力 | 課題の困難度 |
一時的 | 努力 | 運 |
人の行う原因帰属は大きくまとめると以下の4つ
- 課題の困難度
- 能力
- 運
- 努力
内的・外的:
結果の原因が自分にあるか、自分以外にあるかを考える軸
原因が自分自身にあると考えた方が、その後の気分に対する影響は大きくなる。
持続的・一時的:
同じ原因がその時限りか、持続するものかという違い。
試験に対する努力は一時的なものだが、能力は持続的なものということになる。
◉試験に落第した学生の考える理由の例◉
①課題の困難度・運と考えた場合
その課題に対してはやる気をなくすが、全般的な意欲低下にはつながらない。
②努力不足と考えた場合
次回の試験を目指して頑張ろうとし、意欲は高まる
③能力がないからと考えた場合
「やっても無駄だ」「自分にはどうせできない」と考え、意欲は低下する。
個人的には、必ずしも上記のようになるとは限らないと思う。
◉アブラムソンの新理論
ワイナーの原因帰属理論に全体的・特殊的という次元を組み合わせることで学習性無力感の理論を改訂した。
この新理論による考え方
あることができなかった場合(コントロール不可能の場合)、原因が自分自身に由来し(内的)、常に存在する(持続的)ものだとしたら、能力不足が原因と言うことになる。
そして、きっと「自分には無理だ」「やっても無駄だ」と考え、学習性無力感になるだろうと考えた。
さらに細かく考えるために「全体的・特殊的」の面を考えると・・・
落第した試験が数学だと仮定して
「自分には数学の能力がない」と考えるパターン(特殊的)と「自分には勉強全般の能力がない」(全体的)と思う人では、後者の方が深刻な学習性無力感に陥りやすい。
◉一番まずい原因帰属の考え方◉
内的 | 外的 | |
持続的 | 能力 | 課題の困難度 |
一時的 | 努力 | 運 |
全体的・特殊的
原因帰属は性格や物事のとらえ方によってかなり差が出る部分だということが分かる。
学習性無力感の理論まとめ
①まず、コントロールできない事態を経験する
②コントロールできないことを知覚する(認識)
③原因を考える(原因帰属)
④コントロールできない事態の原因を当てはめて考える
内的(自分が悪い)
持続的(今後も続くだろう)
全体的(他のことにもあてはまるだろう)
これらに当てはめてしまうと一番見通しが暗くなる。
⑤将来もコントロールできないという予期が強くなる↓
⑥学習性無力感・うつ状態に陥る
学習性無力感に関しては前の記事を参考に
この理論から学んだこと
以前から物事はとらえ方次第だと考えて生きてきていますが、やはりある程度はその通りだと感じています。
この理論から学べることは、避けようのないコントロール不可能な事態に直面したとしても、原因をいかにとらえるかは自分次第。
そして、上記のような内的・持続的・全体的だと考えてしまう人が最も無気力やうつ状態に陥りやすいということ。
難病発症に当てはめて考えてみると
内的 | 外的 | |
持続的 | 能力 | 課題の困難度 |
一時的 | 努力 | 運 |
原因は運・努力・課題の困難度・能力4項目全て関連がないと言えるので外的(自分のせいではない)
症状は現時点では治らないと言われているので持続的ということになる。
他のことにも当てはまる全体的なことかと言われると、決してそんなことはないので特殊的と考える。
そう考えてみると、確実にコントロール不可能な事態として発症した難病ではあるものの、一番悪い状況には当てはまらない。
その上、持続的ではあるものの、明日にもすべての難病を治す万能薬ができるかもしれないのだから一時的と考えられないこともない。
能力は変えられるものと考えよう
学習性無力感に陥る原因として考えられることは「自分にはコントロール不可能なこと」が起こった時、そして、自分にはできないだろうと思うことだと言える。
何かを失敗し、原因を「能力」に帰属させた場合においても、それは「一時的」だと考えられた方が良い。
一時的なものだと考えられるだけでも無力感を味わい、無気力に陥りにくくなると言える。
何かの課題に取り組む場合であっても、自分自身を取り巻く環境であっても、それ自体が「変わりうるもの」と考えられることが重要だと感じます。
たとえば、僕はSLE(難病)で、有効な治療薬(治療手段)がない状態です。
今まで色々な治療を行ってきても効果的な治療がなく、現状は仕方なく改善の可能性が低いことに願いを込めて日々暮らしています。
正直なところ、医師から治療方針について「八方塞がりです」と言われた時は落ち込みましたし、そのことが無気力のきっかけになってしまったことは否めません。
ただ、現実的に考えて近い将来、新薬が登場したり保険適用外の薬が適用になったりすることで新たな選択肢が見つかることは十分に考えられることです。
SLEに関しては現在、死に至る疾患とは言われなくなっていますが、ひと昔前は臓器障害で亡くなる方が少なくなかったと聞きます。
今の時代は良い薬がたくさん開発されたおかげで、僕も生き延びられているのだと思います。
ものごとを悪い方向にばかり考えてしまうクセがついていると、必然的に無気力・うつ状態になりやすくなります。
そうならないためにも、ものごとは変えようがあると考えてみるだけでも効果があると感じています。
まとめ
全てに当てはまるとは言えませんが、僕は起きたできごと自体に良いも悪いもないと思っています。
起きたできごとが僕にとっては良いととらえられることでも、誰かにとっては絶望的なできごとかもしれません。
その違いは、まぎれもなくその人の「とらえ方・考え方」次第ということになります。
わざわざ自分を苦しめるような原因帰属をして、うつや無気力状態になるような思考はしない方がいいと言えますね。
特にタイプAやメランコリー親和型性格など、無気力や鬱になりやすい性格の方はなおさらです。
無気力に陥りやすい状況が少し勉強できたことで、無意識に自分自身を追い詰めてしまわないようにしていきたいと思います。
頑張ることが当たり前だという考え方で生きてきた人にとっては「休むこと」に罪悪感をいだくことがあります。
当然、休息は必要なものなのに、休んでいるとサボっている、怠けていると感じて苦しくなってしまう。
頑張りすぎてしまう人は、「積極的になまける」ことを仕事にしてしまう方がいい。
積極的になまけることを仕事にしてしまえば、普通の人と同じくらいのペースで休息もとれるようになってきます。
「休むことも仕事のうち」そう考えていると、少しは気が休まってのんびり過ごすことができます。
マグロは泳ぎ続けないと死んでしまうと言われていますが、人間は立ち止まったり速度を落としても死ぬわけじゃない。
自分の無力さや自堕落な生活に絶望するだけでなく、時には開き直ることも必要です。
無理は禁物ということでね。無理するといいことないですから。
積極的になまけることは重要です。