SLE男なまけサバイバーです。SLEについてザックリまとめておきます。
全身性エリテマトーデス症状まとめ
英語でsystemic lupus erythematosusといい、その頭文字でSLEと呼ばれます。
簡単に言うと、自身の身体をウイルス等から守ってくれる警察やボディガードのような存在である免疫系が、まさかの暴走行為で敵も味方も攻撃してしまう恐ろしい状態になる病気です。
それによって全身にさまざまな炎症が起きてしまうわけですね
◉症状◉
発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、関節、皮膚、そして腎臓、肺、中枢神経などの内臓のさまざまな症状が一度にあるいは経過とともに起こってきます。
その原因は、不明。
①全身症状
発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振
②関節症状
手や指が腫れて痛い関節炎を起こします。肘、膝などの大きな関節や手の指など、日によって場所が変わる移動性の関節炎が見られることもある。
③皮膚症状
もっとも有名なのは、頬に出来る赤い発疹で、蝶が羽を広げている形をしているので、蝶型紅斑(バタフライ・ラッシュ)と呼ばれている。
皮膚をさわると、発疹が重なりあい、少し盛り上がっているのが特徴です。
同じ、頬に出来るものでも、盛り上がりのない、ハケで薄紅色の絵の具をぬったような紅斑も見られる。
また、一つ一つが丸く、ディスク状(レコード盤様)のディスコイド疹も、この病気に特徴的で、顔面、耳介、頭部、関節背面などによくみられる。
④日光過敏症
強い紫外線にあたった後に、皮膚に赤い発疹、水膨れ、あるいは熱が出る日光過敏症という状態。
この症状が、病気の始まりであることも少なくありません。この病気以外にも、日光過敏症を起こす病気がいくつかある。
主治医

「日光過敏は人によって出る・出ないというのはありますけど、日光にあたること自体で病気が悪化することが考えられるので、あまり当たらない方がいいというのは言えます。通勤とかくらいだったら大丈夫ですけどね。」
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⑤口内炎
多くは、口の奥、頬にあたる部位や上顎側に出来る粘膜面がへこんだもので、痛みが無く自分で気付かないことが多い。時に痛みを伴うこともある。
⑥脱毛
朝起きたときに、枕にこれまでなかったほどたくさん髪の毛がつくようになったり、円形脱毛のように、部分的に髪の毛が抜けたり、全体の髪の量が減ったりすることもあります。
⑦臓器障害
一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の数が違い、全く臓器障害のない方もいる。
特に腎臓(ループス腎炎と呼ばれることがあります)
神経精神症状、心病変、肺病変、消化器病変、血液異常などは生命に関わる重要な障害になることがある。

◉全身性エリテマトーデス発症の誘引◉

紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我、外科手術、妊娠・出産、ある種の薬剤などが知られています。
発症者の男女比 年齢
男女比 1:9 圧倒的に女性多く、20〜40代に好発する。
私は男性なので、1の方ですね。
遺伝性
遺伝子が同じと考えられる一卵性双生児では、25-60%程度発症とされています。
遺伝子が同じでも全員が同じ病気になるわけではありません。ですから、いわゆる遺伝病ではありません。
すなわち、残りの40-75%は、何らかの環境要因や偶然の要素が考えられています。
治療
警察・ボディガードの暴走を抑えるために薬(ステロイド・免疫抑制剤)を使うことで、攻撃してほしい外部からのウイルスへの抵抗力も下がってしまうので感染症にかかりやすくなるというわけですね。
①副腎皮質ステロイド

警察の暴走を抑えるため、免疫抑制効果のある薬として副腎皮質ステロイドは、無くてはならない薬として知られています。
病気の重症度によって、治療に必要とされる薬の量が違います。
この副腎皮質ステロイドは、腎臓の上にある副腎皮質という場所から出ているホルモンを化学的に作ったもので、代表的なものはプレドニゾロンです。 (いわゆるプレドニンという飲み薬)
一日5mg相当のホルモンが体内から出ていますので、5mgのプレドニゾロンを飲むということは、自分自身が毎日作っている量と同じ量を補うことになります。
一般的に、重症の方では、一日60-80mgを必要としますし、逆に軽症の人では15mg程度で十分のこともあります。
最初 2週間から一ヵ月この量を続け、徐々に減らして5-10mg前後を維持療法として長期に飲み続けることが多いです。
このステロイドの使い方は、専門医としての経験に基づいて多少の違いがあり、医師間で同じでないことがあります。
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②ステロイドパルス療法
①のステロイドでは効果が見られにくい場合の重症例に対し、使われる。副腎皮質ステロイドを、点滴で大量に使用する方法です。
口から飲むよりより早く、かつ効果も高いとされています。
一般的には3日間の使用ですので、この間の副作用も比較的少ないとされています。その後は口からの服用に切り替えます。
3日間で一気に攻めるというやり方ですね。
③免疫抑制薬
副腎皮質ステロイドが効果不十分か、副作用が強い場合に、免疫抑制薬を使うことがあります。
様々な薬があるので、名称は割愛します。
2015年、世界的に用いられている標準的治療等のヒドロキシクロロキン(プラケニル)が日本でも承認されました。皮膚症状や倦怠感などの全身症状での軽減に効果が認められています。
④抗凝固療法
血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群を合併している方では、小児用バッファリン、ワーファリンなどによって、血栓の予防が行われます。
⑤支持療法・対症療法
腎不全のときの透析療法など、その病状に合わせて治療が行われます。
また血行障害の強い方では、血管拡張薬などが使われます。
病態
検査: 血液検査で血液中の抗体を調べることによって判断できます。
この病気の患者さんのほぼ全員(98-99%)が、血液中に抗核抗体という自己抗体をもっています。
自分自身の細胞の中にある核の成分と反応してしまう抗体です。
この抗体が、自分の細胞の核の物質と反応し、免疫複合体(抗原と抗体が反応してできる多分子結合体)という物質を作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などに沈着して病気が引き起こされるのが主な病態と考えられています。
予後 (+主治医からの情報)
現時点では、副腎皮質ステロイドがこの病気の治療には不可欠の薬として知られています。
この薬が使われていなかった1950年代に比べ、病気のコントロールは飛躍的に進歩しました。
この頃には、発症して5年以上生存する人は50%程とされていましたが、現在では95%以上にまで改善しています。
しかし、病型によって、ステロイドの効きやすいものと効きにくいものがあります。
免疫抑制薬が使われるようになって、病気のコントロールはさらに良好になってきています。
関節炎や皮膚症状だけの人は、薬剤によるコントロールも難しくなく、健康な方とほとんど変わらない普通の生活が出来ることが期待されます。
一方、腎臓障害、中枢神経病変、心臓病変、肺病変、血管炎などの臓器障害がある場合には、多種類の薬剤を大量に長期にわたって使わなければならないことがあります。
したがって、一口に全身性エリテマトーデスといっても、その病気の広がりと重症度によって、その後の経過は大きく異なります。
予後が良好なことが多いので、単純に高齢化に伴う生活習慣病(動脈硬化、糖尿病、高血圧など)などに対する対策も必要ですね。
警察を抑える薬剤を使いますから、感染症にかかりやすくなります。
普通の健常人ではあまりかからない弱い病原体によっても病気が引き起こされてしまうので、注意が必要です。(日和見感染)
《参照》
難しくても詳しく調べたい場合は、下記のURLを参考にしてみてくださいね。
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/53