ステロイド服用2年になりました。なまけサバイバーです。
ステロイドが無いと生きていけない身体になり、早2年が経過しました。
ステロイドの素晴らしい作用により今日も生きていられるんだなぁと実感している日々です。
その素晴らしさの一方で、ステロイドは諸刃の剣ともいえる強力な副作用があることでも有名ですね。
顔が丸くなるムーンフェイスのような可愛い程度のものから糖尿病・大腿骨頭壊死など重篤なものまで幅広い副作用が報告されています。
一般的に糖尿病は初期には自覚症状が出にくく、治療が遅れることで重症化するケースが多い特徴があります。
というわけで、今日はステロイドを使用する者として無視できない糖尿病・血糖コントロールについてまとめます。
コチラも参考にどうぞ↓
全国の糖尿病患者数(厚生労働省発表)
HbA1cが6.5%以上となり、糖尿病が強く疑われる人は、12.1%。全国では約1000万人を超えました(2017年9月21日厚生労働省発表)
2002年は約740万人、07年は890万人、12年は950万人であり、増え続けている現状があります。
ステロイドを使っていない人を含めたデータですから、まったくもって他人ごとではありませんね。
※HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)
赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す検査値。 過去1-2ヶ月の血糖値の平均を反映する特徴がある。
・血糖値とHbA1cの両方で判断されますが、HbA1cが6.5%以上であると糖尿病型と判断され、糖尿病の診断基準になっています。
1:空腹時血糖値126mg/DL以上
2:75gOGTT2時間値200mg/DL以上
3:随時血糖値200mg/DL以上
4:HbA1c6.5%以上
上記の条件のうち、1,2,3のどれか1つに該当し、かつHbA1cが6.5%以上であると、その時点で糖尿病と診断されます。
(糖尿病学会臨床診断フローチャートより)
参考:http://www.jds.or.jp/modules/education/index.php?content_id=11
血糖値・HbA1cの基準値
血糖値は100cc(1dl)の血液中に何mgのブドウ糖が含まれているかを表す値のこと
●健常者の場合
空腹時血糖:110㎎/dl未満
食後2時間血糖値;140㎎/dl未満
●【糖尿病疑いと血糖値】
空腹時血糖値
空腹時血糖値が126mg/DL以上の場合は糖尿病が疑われる状態。
日本糖尿病学会の分類基準
優:80〜110mg/DL
良:110〜130mg/DL
可:130〜160mg/DL
不可160mg/DL以上
●随時血糖値
食事と関係なく計測した血糖値。
200mg/DL以上の場合、糖尿病の疑い
●HbA1c
※HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)
赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す検査値。 過去1-2ヶ月の血糖値の平均を反映する特徴がある。
・日本糖尿病学会の基準値によれば、6.2%未満が優、6.2〜6.9%が良、6.9〜7.4%が可(不十分)、7.4%〜8.4%が可(不良)、8.4%以上が不可となっている
●HbA1cの表記 JDS値→NGSP値
2013年4月から健康診断結果のHbA1c値表記もJDS値からNGSP値に変更(国際的表示に変更)となった。
●75gOGTT2時間値
75gOGGTT2時間値というのは、75gのブドウ糖を摂取した状態で計測する血糖値のこと。この数値が200mg/DL以上になると糖尿病が疑われる。
日本糖尿病学会基準値
優:80〜140mg/DL
良:140〜180mg/DL
可:180〜220mg/DL
不可:220mg/DL
引用:http://www.skincare-univ.com/article/044682/
糖尿病と血糖値
インスリンの働き・糖尿病との関係
1食事をすると糖分がブドウ糖として血液中に取り込まれる
2血中のブドウ糖が増えると「すい臓」からインスリンが分泌される
3ブドウ糖は主に肝臓・筋肉・脂肪組織などに取り込まれる
4食事で上昇した血糖値は、この③の作用によって食事前の値まで下がります。
これがインスリンの働きになります。
当然、たくさんの糖分を摂取すればそれだけ血液中の糖が多くなり、多くの組織に取り込まれることになります。
つまり、その分、インスリンを多く分泌しなければならなくなります。
インスリンは脂肪の合成を高め、分解しにくくする作用がありますので、脂肪がつきやすくなります。(太りやすくなります)
食事や間食により誰でも血糖値は上がります。
インスリンが問題なく分泌されている健常者であれば食後2時間程度で食べる前と同じ値まで下がるようになっています。
このインスリンの分泌量が少なくなったり、分泌のタイミングが遅くなってしまったすることで、血糖の処理・コントロールができなくなる状態が糖尿病です。
食後でも血糖値が下がらない状態が慢性的に続き、動脈硬化・脳梗塞・腎不全などの様々な合併症が引き起こされる原因になります。
高血糖症状
200mg/dl前後:自覚症状は特になし
300~400g/dl:異常にのどが渇く。尿量が増える。疲れやすくなる
500mg/dl以上:吐き気・嘔吐・意識消失・昏睡状態になる
有酸素運動で血糖値を下げる
ヒトが生きるうえで必要なエネルギーになるのは、血液中のブドウ糖(血糖)です。運動時のエネルギーとしても血糖を利用するため、血糖値を下げられ、上昇を防ぐことができます。
有酸素運動を行うことで、エネルギーを消費し、血糖値を調節するインスリンの働きがよくなり、ブドウ糖が細胞に取り込まれやすくなるため、血糖コントロールも改善されるというわけですね。
メカニズム
運動をすると血糖を細胞に取り込むタンパク(GLUT4)が増え、インスリンが効きやすくなる。
脂肪組織が作り出すホルモン
インスリン抵抗性の原因になるホルモン(TNFα)
インスリン抵抗性を改善するホルモン(アディポネクチン)
運動を継続することにより、脂肪細胞が減少するとTNFαは減少し、アディポネクチンが増加する。
運動を継続することによってインスリンの働きを良くしていくことが血糖コントロールのカギになります。
有酸素運動を行うタイミングは?
食後30分は時間を空けてから運動するのが望ましいとされています。
食前
低血糖を引き起こすリスクがあるので避けた方が無難です。
食後すぐ
胃に血液が集まりやすく心血流量が低下します。その状態で運動を行うと心筋梗塞のリスクが高まります。
また、胃の内容物を腸に送るためにも、少し横になって休憩する時間があった方が良いと言えます。
食後に有酸素運動を行うと血糖値を下げる効果があるので効果的と言われています。
食後は血糖値が急上昇しますが、運動により血糖値を速やかに下げることができるようになるためですね。
有酸素運動の内容
有酸素運動ですから、負荷の大きい筋力トレーニングなど(無酸素運動)を行う必要はありません。
ウォーキング・軽いジョギング・サイクリングなどがありますが、体力や身体的負荷を考えて、食後に30分程度を目安に家事をしたりすることでも効果があると言われています。
僕の場合は、非常に体力・持久力がないので毎度30分のウォーキングですら不可能です。
そういう僕のようなタイプの場合は、まずは家の中で家事をするということでも良いでしょう。
朝食後に洗濯物を干したり、食器を洗ったり
夕食後には洗濯物をしまう・畳む作業をするなど、あえて食後に何か動的な作業をする時間を作るようにしています。
血糖値を下げるためには中等度程度の運動強度が推奨されがちですが、「ゆっくり歩くだけ」(低強度の運動)でも血糖を下げる効果はあります。
体力に応じて自分なりにできる運動や作業から開始して少しでも血糖コントロールをすることが大事になります。
「無理をしない」で確実に行うことがポイントですね。
非常に参考になるサイト
http://www.dm-net.co.jp/fitness/casestudy/003.php
ステロイド糖尿病の発症率
1962年に行われた東北大学での疫学調査によると、ステロイドを投与された疾患群628例のうち糖尿病発症は46例の7.3%と報告されています。
ステロイド投与量に応じた発症頻度の増加もありますが、90日投与で66%に、300 日投与では94.2%に発症していることから投与期間との因果関係が認められます。
東北大学の内科・小児科でステロイド治療を受けたのは628例で、そのうち治療後にはじめて糖尿病になったのは46例(7.3%)であった。糖尿病発症までに使用したのステロイドの総量をみると、1000mg以内のものでは454例中24例(5.0%)、1000~2000mgのものでは88例中8例(9.1%)、2000~5000mgのもの69例では10例(14.4%)、5000mg以上投与例では17例中3例(17.6%)と、投与量が多くなるほど糖尿病の頻度は高くなった。平均1日投与量では5mg以内では46例中4例(8.7%)、5mg以上10mgまで176例では8例(4.4%)、11mg以上20mgまで266例中19例(5.2%)、21mg以上30mgまで100例中10例(1.0%)、31mg以上50mgまで31例中3例(10%)、51mg以上9例中2例(22%)と投与量が増すにつれて出現頻度が増す傾向がみられた。投与日数の明らかな600例のうち糖尿病となった46例の糖尿病発現日数の累積頻度をみると図1のように90日までに65%となり300日までに約85%、540日で100%となっている。全国大学集計では90日までに66%、300日までに92.4%となっている。
引用・参考HP:http://www.dm-net.co.jp/gotoh/22/
ステロイド糖尿病と予後
全国集計で転帰の明らかなもの212例では、ステロイド中止後の糖尿病は消失53%、軽快25.5%、不変12.5%、悪化3.8%。死亡3.8%、観察中1%であった。 ステロイド中止によって糖尿病も消失するものをidiosteroid diabetes、中止後も持続するのはmetasteroid diabetesである。
引用:http://www.dm-net.co.jp/gotoh/22/
ステロイドと血糖値
通常、血糖値は140を超えると高血糖だと言われますが、200であっても特に自覚症状はありません。血糖値の影響は他の副作用に比べて分かりにくいと言えます。
実は、ステロイドを使用していない健常者であっても、食後の血糖値が140を超えてしまう方は少なくありません。
血糖値が上がりやすい食品を多く摂取していたり、食べる順番が悪かったりすると実は簡単に血糖値は急上昇してしまいます(血糖値スパイク)
実は、糖尿病でない健常者であっても血糖値のコントロールは難しいのです。
こういったことを考えると、ステロイドを使用している私たちが、血糖値を無視して生活していていいわけがないですよね。
ステロイドと血糖測定
僕の場合ですが、1回目の入院時は50~60㎎のプレドニンを飲んでいたので血糖測定をしていました。
その際には、一切間食をしない状況であっても血糖値が200近くまで上昇することが少なくありませんでした。
その後、ステロイドが下がるに伴って血糖測定は終了になりましたが、血糖値のことを考えなくて良くなったわけではありません。
入院中の血糖値は、早朝採血をしているので早朝の空腹時血糖だけは把握できます。
外来においても、基本的に午前中に採血するので午前の血糖値だけは把握できます。
通常、夜に向かうにつれて血糖値は上昇する傾向にあるので、昼食前後・夕食前後・就寝前の血糖値は安定していない場合があります。
というわけで心配になったので入院中に血糖測定をお願いして、食後の運動の効果をみることにしてみました。
なまけサバイバーのステロイド使用歴
最大量
ステロイドパルス療法:500㎎
プレドニン内服:120㎎
最少量:14㎎
継続期間:発症日からなので、2年以上毎日服用しています。
ここ1年くらいはずっとプレドニン(プレドニゾロン)20㎎以上で内服をしています。病状が安定せずに全然下げられないためです。
実際は入院を繰り返すたびに増えるので、30㎎や40㎎のこともけっこうあります。
ちなみにプレドニン20㎎というステロイドの量は決して少なくありません。維持量としては多いと言われています。
中等量のステロイドを使い続けている以上、ムーンフェイスをはじめとする様々な副作用が出てきてしまいます。
ステロイドのおかげで生き続けられるとはいえ、今後の身体的負担を考えると不安に感じるところです。
入院中に食前・食後の血糖測定をした結果
ある1日の血糖値
6時30分:87
7時30分 朝食
10時: 98
11時30分:88
12時 昼食
14時:162
17時30分:93
18時夕食
20時30分:126
HbA1c: 5.1(2017年7月・10月)
入院中に実際に行った運動
今回の結果、ほとんど血糖値は問題ない範囲でしたが、昼食後の血糖はやや高めではありました。
さすがにステロイドを使用している影響は出ているのあろうなと感じます。
入院中で家事をすることはできないので、病棟を少し歩いてみたり、部屋の中でできる軽作業をしました。
入浴の準備をしたり、歯を磨きながら足踏みをしたり、本当に軽い運動しかしていません。
それでも血糖値は食後2時間後にはちゃんと下がってきていました。
食事
食事は病院食のみの予定でしたが、実験のため昼食のみリッツを2袋食べてみました。
そのために血糖値がグンと上がった可能性があります。
間食はしていません。
まとめ
今回、ステロイド使用2年の私の血糖値を調べた結果、7月10月の時点でのHbA1cの値も基準値以下なので現時点では問題なしという判定になりました。
とりあえず一安心( ˘ω˘ )
とはいえ、ステロイドを使用している以上、それだけで確実に血糖値は上がりやすくなります。
必然的に血糖コントロールもしにくくなります。その自覚を持っておく必要はあります。
僕は普段から暴飲暴食を避け、できるだけ血糖コントロールをするように気を付けています。
何も気にせず好き放題していたら、とっくに糖尿病になっていてもおかしくはありません。
リウマチ関連疾患・膠原病・難病患者ではステロイドの使用量が多くなりがちなので、ステロイド糖尿病の発症率は高くなりやすい特徴があります。
一方で、ステロイドを中止すればそれが原因で発症した糖尿病であれば、53%の方が元の状態に戻れるというデータが出ています。
「53%」という数字が果たして高いのか、低いのか。
膠原病である以上、ステロイドを完全に中止することが難しいのが現状です。
そう考えると、日ごろから血糖コントロールの意識をもち、少しでも糖尿病状態にならないように生活する必要があると言えます。
何も管理せず好き放題していて糖尿病や、その先に起こりうる腎不全など合併症を併発してから後悔しても後の祭りです。
薬の副作用はどうしようもないこともありますが、それでもやれることはあります。
自分の健康は医者任せにせず、自分でしっかり管理していきましょう!
なまけサバイバーでした!
それではsee you next t~ime♪