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血小板減少症患者の脾臓摘出術リスクについて 脾摘レポート

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今回から入院11回目の脾臓摘出術編に突入!

 

前回まではリツキサンを使用していたが、残念ながら血小板の異常低値は全く改善せず。

リツキサンが無効だと判断され、脾臓摘出の話をされることになった。

 

その経緯と、脾臓摘出術がどのようなものなのかムンテラや血液内科の医師から聴取した情報をまとめていく。

血小板減少症患者の脾臓摘出術リスクについて

 

 

リツキサン治療を始める際に

「血小板減少症の場合、内服薬や点滴治療をしても効果がみられない場合は、最終的には脾摘になります。」

 

と言われていたものの、いざ現実にその状態に陥ってみると非常に残念な気持ちになる。

 

かなり有効で効果的な治療だと聞いていたリツキサンが無効だったショックを引きずったまま、脾臓摘出の説明を受けることとなった。

どうしても手術をしたくない僕は、なんとか脾臓摘出を避けようと必死で情報収集をした。

 

脾臓摘出術を実施するべきかどうかの判断材料

 

血液内科の先生に意見を聞いてみた

 

「脾臓が血小板を破壊している場合は、ITPそのものが治っちゃう場合もあります。ただ、何も変わらないことも正直あります。6割が治療奏功、4割は無効と言われています」

 

「脾摘は嫌だろうけど、かといって今使っている量の薬を飲み続けるのは現実的じゃないし・・・効いていないし・・・もし自分がこの状況だったら脾摘するなぁ。」

 

「自分の親がこの状況でも脾摘をすすめるなぁ。70代でもです。ぶっちゃけ言うと、脾臓ってなくても何とかなる臓器なのでね、やってみる価値はありますよ。6割は治療奏功ですから。」

 

明るく前向きに脾摘を勧められた。

 

「ピロリ菌が陽性の場合、ピロリ菌の形が血小板の形と似ているから間違えて破壊されちゃうなんてケースもあります。」

 

ピロリ菌が陽性であることに、かすかな願いをかけたが陰性だった。

あっさりと淡い期待は排除された。

 

リウマチ科主治医の意見を聞いてみた

 

・入院当初に言われた話・

 

主治医

「長期的にはステロイドとリツキサンを使用して、血小板が安定する効果が出てくるのを待ちます。もしリツキサンが効かなかった場合は、他の免疫抑制剤を使用してみます。それでも効かなければ、最後の手段は脾摘になります。」

 

「脾摘に関しては本当に最後の手段です。これに関しては一度摘出してしまったら戻せませんし、摘出すれば血小板が壊されなくなって状態が良くなると言い切れない治療です。」

 

私には「最後の手段」という言葉が恐ろしくてたまらなかった。

 

しかもリスクを負って脾臓を摘出しても効果があるかははっきりしないという曖昧極まりない治療だ。

 

ある種の賭けにすら思える「最後の手段」にしては、あまりにも心もとない。

最後の手段だというのに・・・

 

唯一、垂らされた救いの命綱は、まるでタコ糸のようにか細く頼りないものに感じられた。

 

●リツキサンが効かなかった後の治療について●

 

その他の免疫抑制剤である「ネオーラル」の使用を開始。

 

主治医

「ここまでの治療を行ってきて、ネオーラルが効かなかった場合が脾摘を選択しなければならない状態です。正直、リツキサンが効いていないのでネオーラルにはあまり期待できません。」

 

「2日に1回輸血をする生活を続けるわけにはいきませんし、かといって輸血しないと生活ができなくなります。」

この頃、血小板減少症状は日に日に悪化し、ついに2日に1回輸血をしなければならない状況に陥っていた。

 

ネオーラルの免疫抑制効果はリツキサンより弱いため、あまり効果は期待できないとハッキリ言われた。

そう言われた状態で治療に臨む患者の気持ちを少しは考えてほしいと思いつつ、ネオーラルが効くことを願った。

 

ところが、現実は厳しい。

医師の予想通り、効果はみられなかった・・・

 

ということで

 

僕は、いよいよ脾臓摘出術をしなければならない状況に追い詰められることになったのだ。

最後の最後まで踏ん切りがつかない僕は、悪あがきをすることにした。

 

「できるだけ手術は避けたいと思っているんです。やっぱり手術をしても効果が確実ではないということと、リスクが高いので。たとえば半年くらい考えてから決断ということではダメですか。」

 

主治医

急いだほうがいいと思います。のんびりしていられる状況ではないので

 

脾摘を見送るという考えは毛頭ないという返答。

もはや「すぐに脾摘をしなければダメです」と顔に書いてあるも同然だ。

 

それもそのはず。

現状、入院して1ヶ月以上かけて強力な治療をしているにもかかわらず、血小板1万以下が常態化してしまっているのだから。

 

入院当初よりも状況は悪化し、2日に1回の輸血をおこなってもそんな異常状態が続いている。

 

そういうこと自体が、通常は「ありえないこと」であり、かなり危険な状態であるという判断だ。

いつ脳出血になってもおかしくないと何度も何度も言われているが、そうなっていないことが不思議なくらい危険らしい。

 

このまま様子見をしたり、のんびりと考えてから決断するだけの余裕はないとの見解だった。

医師の見解は、リツキサンが効いて手術しなくても済むかもしれないという甘い考えを粉々に打ち砕いた。

 

今までできる限りの治療をしてきて、効果がみられない。そのうえ、状況はどんどん悪化している。

今まで耳にタコができるほど聞かされてきた通り、通常の治療に反応しない難治性症例であることは疑いようがない。

 

手術をするかしないか問題 

今の段階で、正直なところ脾摘には全然期待できないと感じている。

リスクも大きいうえ、将来に希望を持てないので、全くやりたいとは思っていない。

 

僕の病状はあまりに悲惨だった。

治療を強化しているというのに、徐々に悪化していくのを止めることすらできていない。

船底の穴から入ってくる水をバケツでせっせと汲み出しているようなものだ。

 

現実があまりに辛く、もう全て投げ出してしまいたい衝動に駆られた。

しかし、このままでは限界がくる。

 

手術をしたい理由、したくない理由を冷静に客観的に考えてみることにした。

 

脾摘をした方がいいと思う理由

 

①脾摘によって、状況が一気に改善する可能性がある。

 

SLEを発症してから1年10ヶ月経過し、入院は10回目になった。いつになっても社会復帰が見えてこない生活、終わりの見えない生活に終止符を打てるかもしれない。

 

あくまで脾摘が成功して生還できればの話だが、6割は治療奏功と考えると十分希望を持てる数字ではある。

 

②脳出血になって人生をダメにしたくない

 

脳出血になってしまったら、程度にもよるが自分が復帰したいと思っている仕事は絶対にできない状況になってしまう。

それどころか脳がやられてしまう時点で、もうまともに仕事自体ができなくなる可能性がある。

 

それこそ、こうしてブログを書くことすら不可能になるどころか自分のことすら分からない事態に陥る事だってある。

 

その恐怖は毎日忘れたことがない。

だからこそ、この事態は絶対に避けたいと考えている。

 

軽い脳出血でほとんど後遺症がないならともかく、麻痺が残るほどの重いものになればやりたいことの多くは道が閉ざされてしまうことになる。

 

効果が期待できず、うまくいく気がしない手術は当然したくない。

ただ、このままでは脳出血になってしまう可能性があると考えると、その状況が一番きつい。

 

痛みや死のリスクはあるけれど、手術に踏み切った方がいいのかもしれないと考えるためには十分な状況だ。

 

脳出血になる恐怖と比較すれば、手術の恐怖の方がいくらかマシ。

いっそ勝負した方がいいかもしれない。

  

手術をしたくない理由

 

①傷が残る

傷は無いないに越したことはないけれど、正直これは仕方ないから諦められる。

 

②とにかく痛いことは避けたい

肺の切除術をした後ものすごく痛くて苦しかった記憶がある分、できるだけ手術は避けたい気持ちがある。

 

③バルーンカテーテルが嫌い

②と同じ理由。不快感が強烈、そして抜く時、抜いた後も非常に痛い。

 

④一度摘出したら元には戻せない。

あたりまえだけれど、取り除いた臓器は元には戻せない。ガン化したわけでもないのに取ってしまうのはなぁ・・・免疫力も下がるし・・・

 

⑤効果があるか分からないという曖昧さ

6割は治療奏功とはいえ、4割は無効。そんな悲しい話があるか・・・

 

⑥エコー検査の結果から、脾臓は肥大化していない

脾臓が血小板を破壊している場合は脾臓が肥大化してくるが、そういった所見はみられていない。

 

脾臓はあまり関与していない可能性があり、摘出しても効果が期待できないと予想することができてしまう。

 

⑦手術をする準備が大変

ステロイドを下げたり、輸血したり。

というより、この状況では手術に向かう準備すらできないのでは?外科がOKしないのでは?

 

⑧リスクが大きすぎる

血小板が異常に低い状態で、さらに上げることがかなり難しい状況。

出血が止まらず死ぬかもしれない。改善させるために手術をして死んだら本末転倒。

 

⑨改善する気がしない

今までの経過から考えても、脾摘したら状況が良くなるとは到底思えない。

これだけ強い免疫抑制にも反応が悪いのだから。

脾摘は6割が治療奏功と言われているが、過去の経過を考えても6割に入る症例だとは到底思えない。

 

⑩ガンと違って、その組織が悪さをしているから切除しないといけないという状況ではない。何も問題ないのに臓器を摘出してしまう可能性があることは、悲しすぎる。

 

⑪時期尚早と感じる

リツキサン投与から1ヶ月経過したものの、評価は2ヶ月必要と言っていた。

 

他の免疫抑制薬の効果をもう少し見てもいいのではないかと思うので、せめてリツキサンの評価期間の間は脾摘をせずに様子を見たい。

 

⑫脾摘してダメだったら立ち直れないかもしれない

前の病院で治療に関し「八方塞がり」と言われ、この度転院してきた病院で効くと言われた最強のリツキサンが効かなかった。

これ以上の治療はもはや無い状況で、最後の砦が脾摘になっている。

 

もしも最後の手段である脾摘が無効だった場合、もう生きる希望を失って再起不能になる可能性があると感じている。

 

いつまでも終わりの見えない治療は精神的に参る。

いよいよやれることが無くなり、悪い意味で終わりが見えてしまうことは、さらに最悪な気持ちになる。

 

この恐怖は、僕の精神にとって圧倒的な負担になっていた。

手術したい理由が2個に対し、したくない理由が12個挙がってしまった。

 

やはり、やった方がいいのは重々承知していながらも、相当やりたくないというのが本音だ。

 

近年の脾臓摘出術について

 

今いる病院は比較的大きなところ。

リウマチ科の医師も20名弱在籍し、SLEの専門外来をやっている。(最初にお世話になっていた病院の医師は2名だけだった)

 

今いる病院の医師はSLEや膠原病患者の治療経験が豊富だと言える。

そういった大きな病院であっても、近年は脾臓摘出術をほとんど行っていないという。

 

具体的に聞いたところ

 

「ここ7年で脾摘をした例は1件だけです。理由としては、リツキサンなど良い治療薬がいっぱいできてきたので、脾臓摘出まで至る方がほとんどいないということです」

 

「7年で1件・・・」

 

具体的に示された数字から、自分が置かれている状況の異常さが浮き彫りになる。

難治性症例・重症例と何度も言われた意味が理解できた。

 

脾臓摘出術の決断と準備

 

主治医と主治医の上司であるボスの2人から説得に近い説明を受けた。

 

主治医

「脾摘は行う場合、準備に期間が必要になります。例えばステロイドは10㎎まで減量する必要がありますし、遅くとも手術の1週間前にはワクチンを打たなければなりません。」

 

ボス

「手術を避けたい気持ちは分かりますが、こうしている間にも脳出血になるリスクはもちろんのこと、強力に免疫を抑制しているので感染症にかかる可能性があります。そうなった場合、手術ができなくなってしまいます。」

 

「外科の先生・麻酔科の先生に確認したところ、今の状況でも手術自体は行うことができると言ってくれています。あとは、なまけサバイバーさんが決断するだけです。」

 

実際、手術ができるかどうかに関しては、外科医の腕と経験によるところが大きいそうだ。

血小板が何万以上あれば絶対安全という明確な基準はないとのこと。

 

 

「私は20年の臨床経験がありますが、これほど薬の効果がみられない症例は正直、出会ったことがありません。現状、危険な状態が避けられないので、脾摘をしないという選択肢はないと思います。

 

矢継ぎ早に放たれた言葉の弾丸が、何度も身体を貫いていく。

 

 

手術に抵抗する気力が一気にゼロになるほどのダメージを受けた。

落胆などという言葉では言い表せないほど打ちのめされてしまった。

 

考えてみてほしい。

ある日、目の前に魔女が現れ、こう言ってきている。

 

「この中から必ず一つリンゴを選びなさい。さもなければ今すぐ殺します。」

 

①何もせずジリ貧な状況で万に一つの奇跡を待ちながら、ある日、脳出血など取り返しのつかない事態になる。

②手術を選択して生還。しかし、血小板減少症状は変わらず痛く苦しい思いをするだけ。

③手術を選択して死ぬ。

 

当たり前だが、現実には上記の選択肢だけではない。

手術が成功して血小板が安定するということも考えられるのだから。

 

しかし、この時の僕には3つ差し出されたリンゴが全て腐った猛毒リンゴに見えた。

猛毒と分かっているのに、その中から1つを選ばなければならない気持ちは最悪としか言いようがない。

 

「ふざけるな!猛毒と分かっていて選べるか!」

 

そう思っていたのだが・・・

主治医やボスによる説得に近い状況説明を聞き続けているうちに気持ちが変わっていった。

 

「もう脾摘しか選択肢がないということですね。嫌だと言っている場合ではなく、やるしかない状況ということですね・・・」

 

時は一刻を争う事態であり、やりたくないと言っている場合ではないという内容だった。

 

とても丁寧に説明していただいたが、一言で言えば選択の余地なし。

毒リンゴと分かっていても毒リンゴを選ぶしか道はないのだ。

 

ここまで来ると、もう覚悟するしかない。

もしかしたら、毒リンゴを食べても平気かもしれない。

確実に腹を下したり、ダメージは受けるけれども、死にはしないかもしれないわけだし・・・

 

どんどん悪化していく状況に対し、希望の炎は消えかかっていた。

かすかに灯った希望の炎が、死の恐怖にとりつかれていた僕を盲目にさせてくれたようだった。

 

【外科医の手術説明】

 

前の病院の外科医は明らかに逃げ腰で「成功率は低いし、リスクが高いけど、やるんだったらやってもいいですよ」ということを言われていた。

「あなたがやりたいなら、やってもいいけど、責任はとれないよ」といった投げやりなスタンスだった。

 

実際、「ステロイドが減らせないことや、血小板の数値が異常に低いために手術はできない」と絶望的なことばかり言われたこともあり、かなり不安があった。

 

そういった不安を解消するために外科医に質問をぶつけてみた。

 

●外科医の返答●

 

ステロイドを減量して手術を行うべき理由としては、術後の感染症のリスクが上がることと傷口がくっつきにくくなること。

 

実際には傷がくっつきにくくなることはあるそうだが、時間をかければ傷はくっつくことが多いという説明だった。

 

「そもそもどんな手術にもリスクはつきものです。なまけサバイバーさんの状態は通常よりリスクはありますが、そんなに大変な事態ではないと思います。」

 

難しい症例の手術をかなり経験しているとのことで、手術自体は難しくないと断言してくださった。

 

通常、ステロイドは10㎎以下に減量する必要があり、血小板は5万以上あることが望ましい。

ステロイド使用者の手術条件とは?プレドニンの量・血小板値・リスクについて医師に確認した。

 

ただし緊急を要する手術の場合、ステロイドは何㎎使用していようが手術は行える。

また、血小板が異常に低い数値でない限りは、手術中に連続で輸血をし続けてでも手術は行える。

 

つまり、通常よりリスクは高くなるが、手術自体は行うことができるという説明だった。

そんな状態にも関わらず「それほど難しい手術ではない」と断言してもらえた。

 

出血が止まらず死亡するリスクはあると説明されたものの、自信に満ちた外科医の説明により僕の不安は徐々に溶けていった。

こうして心底嫌がっていた手術を行う方針が固まり、運命の日を待つことになったのだった。

 

つづく

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