SLE関連 まとめ オススメのモノ・コト(正直レビュー)

全身性エリテマトーデス(SLE)関連書籍まとめ② 【患者さんが知りたいリウマチ・膠原病】 香川英生 著

投稿日:2016年6月19日 更新日:

今回は「患者さんが知りたいところ」に着目して書かれている書籍を紹介します。

 

著者は膠原病・リウマチの専門医として、患者さんが「困っているところ」「本当に知りたがっているところ」が分かり、本書の出版に至ったとのこと。

 

できるだけ専門用語を使わないように心掛けたというだけあって、関連の書籍に比べると読みやすく分かりやすいと感じました。

 

【患者さんが知りたいリウマチ・膠原病】

 

妊娠・出産(安定していれば可能)

著者の考える安定した状態とは

 

①プレドニン10㎎以下で病状が安定している

②尿たんぱくが出ていない(腎臓の合併症がない)

③熱が出ていない

④血液データが安定している。

 

ただし、流産の可能性が高いことを理解しておく必要がある。また、妊娠すると一般的に見かけ上は膠原病が安定することが多くなる。

 

これは身体の中から自然にステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)が分泌されるためであるが、出産後に悪化するケースもある。

これらの抗体を持っている場合は注意

①抗リン脂質抗体

 

自然流産率が非常に高くなる。この抗体を持っていると、胎盤に血栓が出来るため何回も流産する場合がある。(習慣性流産)

 

②抗SS-A抗体③抗SS-B抗体

 

シェーグレン症候群でもみられる抗体。この抗体が多い場合は、稀に申請時ループスが発症して湿疹が出たり、心臓に影響が出たりする場合がある。

妊娠と「くすり」の影響

ステロイド薬の中には、胎児への安全性が確立されていないものもあるが、プレドニンは安全性が確認されている。

 

妊娠中に使えない第一の薬は【免疫抑制剤】。これにより胎児奇形や流産のリスクが上がる。

 

その他、風邪薬や消炎鎮痛剤なども使用禁止の場合があるため、使用薬は主治医としっかり相談する必要がある。

 

※ちなみに医学的な妊娠許可条件は各施設や医師により、まちまちとのこと。

 

紫外線と病状悪化の関係

皮膚や日焼け(やけど)すると、細胞の中からDNAが血液の中に流れ出す。

 

すると、抗DNA抗体をつくる働きが刺激され、病状を悪化させたり再発させたりする。

 

インフルエンザで病状が重症化

予防接種には賛否両論あるが、膠原病患者がインフルエンザにかかると重症化することがあるため、著者は予防接種を勧めているとのこと。

 

予防接種を受けたことの副作用は一例も報告がない。ただし、ステロイドや免疫抑制剤を使用していると、予防接種の効果が低くなることがある。

 

使っていい健康食品と避けた方がいい健康食品

 

健康食品の多くは免疫力を活性化する作用(免疫賦活作用)をアピールしている。

 

免疫を増強する健康食品が適しているのは、ガンと言われるが現実的にはどこまで免疫力を高めるのかが証明されていない健康食品が多いようです。

 

著者は、【膠原病の場合、免疫力を高めることは症状を悪くする方向に働く可能性がある。】と考え「免疫を強化する健康食品は使わないように」とアドバイスしている。

 

Q&A

Q「先生、この健康食品は『免疫力が低下している場合は強化し、免疫力が暴走している場合は免疫力を抑える』と言っています。膠原病にも使えるんじゃないですか?」

 

A「そういった効果は免疫に対して選択的に働くと言いますが、その働きがどこまで科学的に証明されているかは疑問があります。もし使って症状が悪くなると、治療も難しくなります。私は『選択的』とうたっている健康食品は取らない方が安全だと考えています。」

 

あくまで、ハッキリしないところだから最終的には自己責任でということでしょうね。

 

治療

治療ではステロイド薬が良く効く。通常はプレドニンを20~30㎎~はじめ、様子を見ながら徐々に減らしていく。ステロイド減量に伴って免疫抑制剤の併用も検討される。

 

ステロイド薬の量が足りているかどうかの判断は、血液データをチェック。

 

項目としては【赤血球、白血球、血小板、補体、アルブミン】など。

 

これらの数値が下がってきた場合と、抗ds-DNA抗体が上昇した場合にはSLEの活動性が高まっていると判断し、薬の量を調整する。

 

著者の使用している漢方薬

SLEでは「柴苓湯」・「十全大補湯」を使う。

治療に漢方薬も取り入れ、プレドニンの量を減らすことが出来ているそうです。

 

【寛解】に入る患者さんも少なくない

SLEは症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。しかし、少量のステロイド薬で安定した状態にコントロールすることは可能。

 

著者のクリニックでは、少量のステロイドで安定している方も多い。また、ステロイドを服用していない方の中には、数ヶ月に1度あるいは年に1度の診察だけの方もいるとのこと。

 

ただし、状態が良いからといって薬を飲み忘れたり、生活が乱れたりすると症状の再発(再燃)が起こることがある。油断せず、薬はきちんと飲み、生活態度にも注意が必要。

 
さいごに

その他、レイノー現象に対するセルフケアが掲載されていたり、膠原病の様々な検査の内容が分かりやすく解説されています。

 

この本を最初に購入しておくと全体的なことが分かりやすいと感じます。

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